国際海洋シンポジウム’96

日本財団と国民の祝日「海の日」を祝う実行委員会は、七月十六・十七日の両日、東京・有明の東京ビックサイト国際会議場で国際海洋シンポジウム96「海は人類を救えるか」を開いた。
初日の十六日は、常陸宮同妃両殿下のご臨席のもと午前十時三十分開会、主催者を代表して曽野綾子日本財団会長が挨拶の後、常陸宮殿下のお言葉、亀井善之運輸大臣、G・クーレンブルグユネスコ政府間海洋学委員会事務局長の来賓挨拶と続き、荘厳で国際色豊かな雰囲気の中でスタートとした。
記念講演は、海洋環境研究家のジャック・ピカール氏が「海中調査と人類の未来」と題して、人は海のために何をすべきかの視点からさまざまな提言を行った。
また、基調講演では、当シンポジウムの企画委員長を務める東京大学名誉教授の奈須紀幸氏が「海は人類を救えるか…海のすがたを探る」と題して、人類の抱える問題解決のためにもっと海を知る必要があり「なぜ今海なのか」を海洋研究の専門家の立場から訴えた。
続いて、パネルディスカッションに移り「地球環境と海洋…無限の可能性を求めて」をテーマに内外の有識者五人のパネリストが、それぞれするどく海を見つめた問題指摘と提言を行った。会場からの質問意見もあって盛況なうちに終わった。
二日目は、記念講演に作家の陳舜臣氏が「東西を結んだ人々」と題して、遣唐使から大航海時代までの東西の人々の交流を説いた。
続いて東京女子大学現代文化学部教授の大林太良氏の「海と日本文化」と題する基調講演があった。
午後は「海を超える文明」をテーマにしたパネルディスカッションで、有識者五人のパネリストが、それぞれ専門分野からみた海の役割について解説した上で海に関する提言を行った。
最後に笹川陽平日本財団理事長が「人と海との共生の必要性の認識を深めるため、今後もこのシンポジウムを続けたい」と挨拶して閉会した。